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有料老人ホームが倒産する
そんなことがありえるのか?
実は既に数件発生しています。
直近では、話題になった秋田県のホーム。
「花あかり角館」
全居室数 80室に対して、既に32名が入居していたが、職員の大量退職により継続が不可能となり閉鎖しました。
職員の大量退職の原因は、給与の遅配。
仕組みとしては
入居者が集まらない
↓
職員の給与が支払えない
↓
職員が退職
↓
サービス提供不可
↓
入居者全員退去
ちなみに、入居金は20万円、月額は12〜13万円程度だったとのこと。
調べてみると、オープンの日には市長も出席するなど地元からは多くの期待を持たれて開所したのでしょう。
大変残念ですし、憤りさえ感じます。入居者はもちろん、ご家族は大変な状況になっていると思います。
実際の経営は、東京にあるコンサルティング会社がしており、子会社が運営企業だったようです。
もともと、有料老人ホームビジネスは 赤字でスタートするモデル。ある意味 大きな先行投資型ビジネスモデルです。
土地・建物を用意し、人を採用し、広告をだし、入居者が入ってやっとお金が入ってきます。しかし、その入ってくるお金(入居金)も初期償却する分以外は預かり金の状況です。
通常は、入居金で初期投資の土地・建物分にあて、毎月の売上(毎月の利用者からの支払い+介護保険の収入)で人件費などを支払います。もちろん、初期投資を借り入れなどしている場合は、いかに早期に入居者を集めるかがポイントになります。
数年前からは、ホームの運営事業者が自社で土地・建物を保有せずに 土地のオーナーに建ててもらい、だいたい30年間にわたって毎月何百万円の賃料を払う契約をして、事業スタートするパターンが増えています。(運営事業者が支援金のような感じでオーナーに建設コストの一部を支払う場合もあります)
もちろん、このパターンでも 早期に高い入居率までもっていき、安定して賃料の支払いができるようにしなくてはいけません。
介護ビジネスは、大半が人件費となります。その人件費も、利用者が入居する前から採用し教育、準備しておく必要があります。
結局、有料老人ホーム事業は いつまで赤字に耐えられるか?という 資本力(借り入れ等含めて)が大変重要になるのです。
もちろん、小資本であっても早期に入居者を獲得し安定運営している施設も存在します。
しかし、私がしっている倒産したホームも小資本での運営スタートでした。最近は、以前に比べて多少はマーケットからのお金がこの業界にも流れてくるようになり、立ち上げがしやすくなったといえます。
しかし、介護ビジネスは数十年のスパンで考えての事業計画が必要になる以上、その期間をサポートしきれるだけの資本力がやはり重要です。
今回のような事態はもう起きてほしくありませんが、安易に参入している企業があることも実際です。
私たちはこの業界をサポートするという使命をもっていますので、しっかりとチェックしていきたいと思います。
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