平成27年12月28日
株式会社アイレップ
2015年11月、Googleは“ Google General Guidelines (検索品質評価ガイドライン)”の新バージョンを公開しました。この資料は、「世界有数のWebサイト鑑定家」であるGoogle がどのような点に着目してWebサイト・ページを評価しているかが明確に示されており、長期的な視点に立ってユーザーに愛されるWebサイトを作るためのチェックリストとして非常に役立つ情報です。また、Google がどのような点を評価しようとしているのか知ることができるため、今後の長期的なSEO方針を考える際にも役立つでしょう。
本稿ではまず「検索品質評価ガイドライン(以下、章を明記する際は『GG』と記載)」自体の概要・意義を説明し、その後に内容の要点を解説します。また、「検索品質評価ガイドライン」の私訳版をPDFファイルで提供します。
1.品質評価ガイドラインの意義・概要
■「検索品質評価ガイドライン」とは
Google は一年間に数万個のアルゴリズム案を作成していますが、その中で正式に実装されるものはごくわずかです。
新しいアルゴリズムを作成したとき、Google はまず一般公開せずに試験を行います。その試験において、Googleに対して「この検索結果のほうがいい」といった評価を行うのが「検索品質評価担当者」と言われる人々です。
これらの評価者は自分の好みで評価を行うわけではありません。彼らは評価する際に評価ポイントや基準を明示したルールブックに則っており、それが「検索品質評価ガイドライン」です。
以下の図は、Google 公式サイトに掲載されているアルゴリズム選定プロセスの概念図です。青く四角で囲った各プロセスに、検索品質評価ガイドラインが影響します。下図の出典のGoogle 検索サービス公式サイトにおいて、公式アルゴリズムの品質評価テストにおけるアイデアから実用化までについて説明されています。
画像左上に明記されている通り、品質評価者の評価はランキングには直接は影響しません。しかし、Google が実装する可能性があるアルゴリズムは、「検索品質評価ガイドライン」の価値観に沿ったものだけです。
つまり、「検索品質評価ガイドライン」を知ることで、Googleが今後どのようなWebサイト・ページを評価しようとしているかを知ることができます。
■「ウェブマスター向けガイドライン」と「検索品質評価ガイドライン」の違い
「Google のガイドライン」というと、「ウェブマスター向けガイドライン」を思い起こす方も多いはずです。例えば「ガイドライン違反による手動対策」という場合、後者を参照することになります。
両者の根底にある価値観は共通のものですが、以下の違いがあります。
ウェブマスター向けガイドライン
Google の最低限の要求を、やや抽象的に示しています。
ここに記載された事項を達成できていない場合、現時点でのSEOに障害が発生することがあります。
どんなタイプのWebサイトにも当てはまる、Google に評価されるために「これだけはやっておくと良い」「これは絶対にしてはいけない」という内容を記載しています。
検索品質評価ガイドライン
Google の理想・価値観を、とても具体的に示しています。
今後の長期的なSEOを達成するためには、検索品質評価ガイドラインの基準を意識することが重要です。
「エンゲージメントを用いた評判の評価」のように、現時点のGoogle 検索では実装されていない要素も含まれています。そのため、検索品質評価ガイドラインの基準をすべて満たさなくても、現時点のSEOとしては十分な場合もあります。
これ以降は特記しない限り、検索品質評価ガイドラインのことを「ガイドライン」と表記します。
■ガイドラインの概要
導入部と全4章の計5パート構成になっています。
導入部:General Guidelines Overview (4~6ページ)
第1章:Page Quality Rating Guideline (7~66ページ)
第2章:Understanding Mobile User Needs (67~86ページ)
第3章:Needs Met Rating Guideline (87~151ページ)
第4章:Using the Evaluation Platform (151~160ページ)
しかし、導入部と第4章は品質評価者向けの情報であり、一般のWebサイト製作者に重要な情報は特にありません。一方、第1章から第3章にはWebサイト改善のチェックポイント・Google の評価基準・ユーザー分析などの役立つ情報が豊富に含まれています。
よって本稿では第1章から第3章の要点を解説し、全訳の提供も第1章から第3章を優先して行います。
Webサイトがユーザーに愛され、Google にも評価されるためには「高品質で」「ユーザーが見やすく」「ユーザーの需要に合っている」必要があります。
次ページでは「高品質」という点についてのGoogle の評価基準から、Webサイト・ページを作るための注意点を考えます。