2017年総括 検索エンジン順位変動と動向

2020.06.25

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2017年を振り返り、検索エンジン順位変動(モバイル・PC)とその動向を1年間の総括としてまとめました。

順位変動観測指標の説明についてはこちらをご参照ください。

2017年の総括

順位変動

2017年の上半期と下半期の順位変動を比較すると、モバイル検索・PC検索ともに上半期より下半期の方がモバイル検索で約6%、PC検索で約16%変動幅が大きくなっています。下半期の変動幅の方が大きい原因については不明ですが、特定の日から突然変動したのではなく、徐々に大きくなっていることから日々実施されているアルゴリズム改善の影響と推測します。

また2016年と比較すると年間平均変動幅は、モバイル検索・PC検索ともに約40%強大きくなっています。2016年9月にコアアルゴリズムにペンギンアップデートが統合されたタイミングから変動幅に変化が見られ、その状況が2017年も継続しています。

2017年2月と12月に実施された日本語検索のみが対象のアルゴリズムアップデートでは、いずれも観測している範囲内での影響はほとんどありませんでした。しかし、特定のWebサイトでは大幅な評価の低下が見られました。

業界別の順位変動においては、年間平均変動幅が最少の業界は旅行、最大の業界は金融でした。旅行業界と金融業界との年間平均変動幅の差は約28%です。2016年から比較すると順位変動が大きくなっていますが、日々の順位変動に一喜一憂するのではなく、ユーザーに有益なコンテンツを提供することが今後さらに重要になります。

検索エンジンの動向

検索品質を改善する様々な取組みを実施

2017年、Google は検索結果に表示される情報の品質向上を目的とした様々な取組みを実施しました。フェイクニュースへの対策として、世界規模で4月に「ファクト チェックラベル」の導入フィードバック機能の追加、アルゴリズムの改善、7月に品質評価者向けガイドラインの更新が実施されています。

また日本語検索を対象にコンテンツの品質評価に関する大きなアップデートが2度行われました。2月に、Webサイトの品質評価方法の改善を実施し、上位表示を主眼とした信頼性が低いコンテンツを提供するWebサイトへ対策を行いました。この対策によりオリジナルで高品質なコンテンツを持つWebサイトが上位表示されやすくなりました。12月には、医療や健康に関する検索結果を改善するアップデートが行われ、医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高いコンテンツが上位表示されやすくなりました。

これらの対策により信頼性の低いWebサイトが上位表示されづらくなりましたが、まだ対策できていない分野も存在しています。Google は検索品質を改善するためユーザーからのフィードバックを求めており、今後も日々改善されるでしょう。

モバイル ファースト インデックスの進展

モバイル ファースト インデックス(以下、MFI)のロールアウトについては、具体的な導入スケジュールは発表されませんでした。Google は12月に、各Webサイトの準備状況を評価し、準備ができたWebサイトからMFIへ移行していく予定の旨発表しました。また、ウェブマスター向けにMFI導入に向けて今後準備する方法を紹介しています。

2018年は、より多くのWebサイトがMFIの対象となるでしょう。

検索結果の仕様変更を立て続けに実施

Google は、米国で4月に採用管理サービス「 Google Hire 」を発表、6月には自然検索結果に表示される求人情報検索サービス「 Google for Jobs 」をリリースし、求人領域のサービス展開を進めました(2017年12月31日時点では日本語未対応)。

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※米Google モバイル検索(www.google.com)にて「seo jobs」の検索結果でのGoogle for Jobs の表示例(2018年1月11日時点)

 

Google for Jobs 以外にも検索結果に様々な仕様変更が行われました。5月にモバイル画像検索で画像形式や色などで絞り込みができる機能を実装8月にはレシピ、商品、動画等にバッジの表示を開始12月には強調スニペットの画像数を増加や、関連する検索と関連するコンテンツへの導線を追加し、PC検索結果の説明文の文字数を増やす変更も行いました。また同じく12月にモバイル検索で表示要素が少ない検索結果のテスト画像検索のタグ機能報告されており、検索結果の仕様変更を立て続けに実施しています。これらの変更を通して、Google は関連性の高い情報をユーザーに提供するための改善を続けています。

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※Googleモバイル検索(www.google.co.jp)にて「ボールペン」での画像検索結果(左)と、「アルペンスキー」での検索結果(右)の表示例(2018年1月11日時点)

 

日本語での音声アシスタントを本格導入

Google は、音声アシスタント「 Google アシスタント 」の日本語版を2017年にリリースしました。それに伴い関連アプリや様々なデバイスへの導入が進んだ1年になりました。日本語版のGoogle アシスタント は、5月にAndroid スマートフォンが対応し、8月にはiOS版が対応開始しました。同じ音声アシスタントであるAppleのSiriや、AmazonのAlexa、MicrosoftのCortana、LINEのClovaと競合するサービスとなります。

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※Google アシスタント の起動画面

 

また10月には、Google アシスタント を搭載したスマートスピーカー「 Google Home 」が日本国内で販売を開始しました。Googleアシスタント に対応したスマートフォンやスマートスピーカーが本格的に導入されたことで音声アシスタントによる音声検索が拡大しました。今後は、音声検索の需要が更に伸びることが予測されます。

 

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※ 移動平均:当日を含む直近10日間の変動幅平均

 

業界別変動状況

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各業界別順位変動状況については下記を参照

※業界別変動状況はモバイル版のみ掲載

人材  旅行  小売/通販  不動産  メーカー  

 

2017年 主な検索エンジン動向

Google 、検索品質を向上させる取組みを実施

Google は2017年2月と12月に検索品質向上を目的としたアルゴリズムアップデートを実施しました。いずれのアップデートも特定のWebサイトには非常に大きな影響が発生しました。
また検索アルゴリズムの指標となる品質評価ガイドライン( General Guidelines )の更新を2度行い、11月には信頼できるコンテンツを区別する「 Trust Project 」の取組みを発表しました。

▽関連情報
2017年2月3日 Google 、品質評価アルゴリズムを改善
2017年3月14日 米Google 、「偽ニュース」「ヘイトスピーチ」などに対し対策強化の方向性
2017年4月7日 米Google 、「ファクト チェック」ラベル機能を導入
2017年4月25日 Google 、検索品質向上に関する進捗状況を報告
2017年7月27日 米Google 、品質評価ガイドラインを更新
2017年11月16日 米Google 、信頼できるコンテンツを区別する「 Trust Project 」の取組みを発表
2017年12月6日 Google 、医療や健康に関する検索結果の改善を発表

Google 、モバイル ファースト インデックスを一部Webサイトで導入開始

Google は2016年10月に発表したモバイル ファースト インデックスの一部Webサイトで導入開始したと2017年12月に発表しました。
開始に向けてGoogle は、新しいツールの公開やレスポンシブウェブデザインへの移行方法を公開し、Webサイト管理者へ準備を促してきました。なおすべてのWebサイトにおいて直ちにPC版ページからモバイル版ページへインデックスが移行されるのではなく、準備が整ったWebサイトから順次移行されます。

▽関連情報
2017年6月13日 米Google 、モバイル ファースト インデックス のローンチは2018年以降になる模様
2017年6月28日 Google 、Test My Site ツールを更新
2017年8月22日 Google 、モバイル ファースト インデックスに向けてレスポンシブウェブデザインを推奨
2017年9月24日 Google 、モバイル専用サイトからレスポンシブサイトへ移行する方法を公開
2017年10月17日 米Google 、モバイル ファースト インデックス を複数のWebサイトで実験中
2017年12月19日 Google 、モバイル ファースト インデックスに向けた準備について発表

Google 、検索結果の仕様変更を多数実施

Google は立て続けに検索結果の仕様変更を実施しました。
リッチカードの全世界展開、モバイル画像検索の機能強化、国別ドメインに関わらず現在地に応じた検索結果を表示する仕様変更、次項に記載している「 Google for Jobs 」の実装など、多岐にわたる仕様変更を実施しました。

▽関連情報
2017年2月22日 Google 、広告ラベルのデザインを変更
2017年3月22日 Google 、リッチカードを全世界で表示開始
2017年4月11日 Google 、モバイル画像検索でショッピング向け機能を強化
2017年5月9日ごろ Google 、モバイル画像検索において画像形式や色で絞り込む機能を実装
2017年7月12日 Google 、モバイル画像検索結果にレシピ情報と動画を掲載
2017年7月13日 米Google 、検索結果から美容に関するサービスの予約が可能に
2017年8月1日 Google 、画像検索結果のレシピ・商品・動画等にバッジを表示
2017年10月27日 Google 、国別ドメインの検索サービスに関わらず現在地に応じた検索結果を表示するように
2017年12月1日 米Google 、検索結果に表示される説明文の平均文字数が増加
2017年12月5日 米Google 、3つの検索結果の機能アップデートを発表

米Google 、Google for Jobs を発表

22017年5月18日、米Google が求人情報を検索できるサービス「 Google for Jobs 」を発表し、6月20日に公開しました。
求職の意図が明確なキーワード検索に対して、検索結果上に求人情報を専用のフォーマットで表示します。Google for Jobs は、リッチ検索結果をさらに拡張した「エンリッチ リザルト」として実装され、検索結果へ表示するには構造化データでマークアップする必要があります。
2017年12月31日時点では、米国のみで実装されており、日本への実装については不明です。

▽関連情報
2017年5月18日 米Google 、求人情報の検索機能「 Google for Jobs 」を発表
2017年6月20日 米Google 、求人検索の「 Google for Jobs 」を公開
2017年11月15日 米Google 、Google for Jobs の新機能を公開

Google 、日本語のGoogle アシスタント をスマートフォンで提供開始

2017年5月29日、Google は日本語のGoogle アシスタント をAndroid スマートフォン向けに提供開始しました。
8月24日にはiOS 向けの提供も開始し、10月にはGoogle アシスタント を搭載したスマートスピーカー「 Google Home 」の発売がスタートしました。

▽関連情報
2017年5月29日 Google 、日本語のGoogle アシスタントをAndroid スマートフォンに提供開始

AMPに関するアップデートを継続中

2016年2月23日、Google のモバイル検索結果において表示を開始したAMPは、2017年もアップデートを継続しています。
3月7日にはYahoo!検索でのAMPページのサポートの開始を発表し、2017年7月14日にはamp-bindを公開しました。このamp-bindの公開によりAMPページで動的なコンテンツが実装できるようになりました。
また11月16日には正規ページとAMPページの内容が一致することを求めるポリシー変更を2018年2月1日から適用することも発表しています。

▽関連情報
2017年3月7日 ヤフー、AMP ページのサポートの開始予定を発表
2017年7月14日 AMP Project 、amp-bind を公開
2017年11月16日 Google 、AMPページと正規ページの内容が一致することを求めるポリシー変更を発表

 

Google および Google ロゴは、Google LLC の商標です。

 

この記事の著者

DIGIFUL編集部

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