アマゾンとEC~ ROIドリブンマーケティングの未来~(前編)|コラム|株式会社アイレップ
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カテゴリー:業界ニュース

アマゾンとEC~ ROIドリブンマーケティングの未来~(前編)

(執筆:グローバルDP室 Peter McFarlane、監修:グローバルセールス本部 本部長 矢作嘉男、翻訳:広報室)

アマゾンについて

2017年はアマゾンにとって劇的な一年となった。Amazon PrimeとAmazon Echo導入に端を発したWebサービスのプログラム拡大に伴い、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス:Amazon.comの創設者/チェアマン/CEO)の企業は徐々に、しかし確実に「『地球上で最も豊富な品揃え』そして、『地球上で最もお客様を大切にできる企業であること』」という企業理念を実現する世界的リーダー企業へと成長している。1994年に初めてオンライン書籍を販売して以来アマゾンは、ユビキタス時代における消費者の生活の一部となり、多数の独立した収益構造を持つビジネスモデルのエコシステムを徹底的かつ戦略的に作り上げてきた。例えばAmazon Primeの場合、アマゾンの無料配送やオンデマンド配信はシームレスに提供している。スケールメリットの活用により、アマゾンは過去最高の収益を更新し続け、2017年は見込みを超えた過去最高の利益・売上高を記録した。

アマゾンは今や時価総額4,300億ドルの企業だが、しかしデジタルマーケティングの企業とは捉えられていなかった。2016年のアマゾンのオンライン広告収益は16億ドルと、アマゾンの総収益の2%も満たしていない(図1参照)。一方で、2,090億ドル規模の業界において、Google 、Facebookといった業界の巨人企業に次ぐ3番手になり得る多大な可能性を秘めていることが明らかになった。

図1

図1:アマゾンのセグメント別売上高(Amazon.com、2016年発表ANNUAL REPORTよりアイレップ作成

このコラムでは、業界を複占するGoogle とFacebookの二社に対するアマゾンの戦略と展望を探る。さらに、次号の後編では、アマゾンの日本における最新の取組みについて考察する。

デジタルマーケティング領域におけるアマゾンの適性

急速に拡大を続ける現在のデジタルマーケティング業界では利益は約20~30%と見積もられ、これと比較するとアマゾンの主軸を締める小売業の利益は約5%と小規模であり、アマゾンがデジタルマーケティング領域に更なる人材を投資する背景となっている。アマゾンの台頭が広告主にもたらす可能性について理解するためには、まずデジタルマーケティング業界における強大なポジショニングを確立するために何が必要か考えてみたい。

a. アマゾンのデータ活用

世界中のエキスパートが賛同するように、デジタルマーケティングはインターネットユーザーに対しパーソナライズされたコンテンツを提供する、データドリブンな業界である。この点で、アマゾンは他社より優位に立つ利点を有している。Google が検索エンジンによる膨大な量のリサーチデータを基盤とし、またFacebookが的を絞ったユーザープロファイルデータの宝庫である一方、アマゾンはマーケターにとってはるかに価値のあるデータを保有している。それは、驚異的な量の消費者購入データである。

アマゾンのIREPに対する説明によると、同社の最大の強みはファーストパーティーが保有する数10億に及ぶリアルタイムの購買行動データを活用して、特定のターゲットユーザーに関連する広告を配信可能なことだ。確かに、アマゾンは20年以上もの間定評のあるオンラインマーケット市場であり続け、消費者とオンラインショッピングのトレンドに関する膨大な情報を収集してきた。その結果、デモグラフィックデータから個人の支出傾向や今後の購買の可能性まで、他のどのプラットフォームよりもユーザー理解に優れていると言える。アマゾンのチーフストラテジーオフィサーであるMatt Tepperは、「(アマゾンほど、)消費者が既に(ファネルの)購入フェーズにいる、あるいは購入に近い消費者を抱えるプラットフォームは存在しない」と述べている。

b. ターゲティングによるコンバージョン

Google とFacebookのデジタルマーケティングへの包括的アプローチに比べ、アマゾンはほとんどのサービスが購入とROIに集中している。例えば、2016年にはAMS(Amazon マーケティングサービス)に出稿している米国の広告主は全ての商品カテゴリーにおいて平均700%超えのROASを達成したが、Google のショッピング広告ではROAS平均542%となっている。このように、ECの巨人アマゾンは、ROIやROASに重きを置く広告主にとっては理想的と言える。これは、アマゾンを閲覧しているユーザーが購買サイクルの終盤にいることが多く、支払の準備ができている状態に近いという事実に起因している。

アマゾンのデジタルマーケティング領域におけるビジネス拡大は、消費者の閲覧習慣の明らかな変化を意味する。パーソナライズ企業の米BloomReach社の調べによると、アメリカ人の55%がオンラインショッピングでアマゾンを利用している(出典「State of Amazon 2016」、 http://go.bloomreach.com/rs/243-XLW-551/images/state-of-amazon-2016-report.pdf、図2参照)。さらに同調査によると、Google などの検索エンジンによる商品検索は前年と比較して28%から34%減少しているとされる。Kenshooが発表した同様の調査では(、米国と西ヨーロッパの複数国において、消費者が商品を検索する際に利用するWebサイトはアマゾンとGoogle は互角だったことが判明している(出典「AMAZON: THE BIG E-COMMERCE MARKETING OPPORTUNITY FOR BRANDS」、 https://kenshoo.com/wp-content/uploads/2017/09/Kenshoo-DIGI_WPaper-1-2.pdf)。検索エンジンの利用という観点ではGoogle は間違いなく最大規模だが、アマゾンはショッピングにおけるナンバーワン検索エンジンであることも明らかになりつつある。

図2

図2:出典「State of Amazon 2016」よりアイレップ作成

c. アマゾンの最新広告ビジネス

中核事業であるオンライン小売業がわずか5%の利益しかもたらさない一方で、オンラインマーケティングの収益率は20~30%と推定されており、アマゾンが更なるビジネス拡大を狙うのは不思議なことではない。ここまで、アマゾンのオンライン広告ビジネスにおける多大なる可能性について列挙してきたが、現状どういった広告を提供しているのだろうか?ここからは、アマゾンの利用可能なサービスについての概要を述べる。

1. AMS(Amazon マーケティングサービス)

AMSは、従来のPPC広告と同等のプラットフォームで、サーチ広告を出稿したことのあるマーケターが馴染みやすい広告だ。キーワードによる検索バー(完全一致、フレーズ一致、部分一致に分類)、SERP(アルゴリズムによる検索結果ページ)、オーガニックと親和性の高いPPC広告などが該当する。

AMSはCPC型のスポンサープロダクト広告、ヘッドライン検索広告、商品ディスプレイ広告の3種の広告商品を提供している。アマゾン上で店舗を持つベンダーは、AMSをオンライン出稿の主軸として活用することで、ROASの大幅な増加を見込める。

2. AAP(Amazon Advertising Platform)

AAPは、アマゾンのプログラマティックなDSPである。アマゾンユーザーへのROIに重きを置くAMSとは異なり、AAPはアマゾンのホームページ、他のアマゾン専属出版社やデベロッパー(IMdBなど)から外部のLPへユーザーを誘導可能だ。アマゾンのプログラマティックDSPの強みは、アマゾンの消費者データ活用における精度の高さで、これにより高次元なセグメンテーションが可能になっている。

AAPでは、購入履歴や再購入サイクル、ショッピングカートの内容などに基づいて、購入者と類似ユーザーにリターゲティングが可能だ。こういった独自のオーディエンスセグメントは、Google のDoubleClick Ad Exchange 、AppNexus(米プログラマティック広告プラットフォーム企業)、 BrightRoll(米ヤフーが買収したプログラマティック動画企業)、OpenX(プログラマティック広告プラットフォーム企業)を含めた主要アドエクスチェンジを通じて、他の媒体のWebサイトでターゲティングすることもできる。

また、アマゾン独自の強みとして、プラットフォーム上でのコンバージョンのトラッキングの容易さも挙げられる。バナー広告に触発されたオンライン購入者は他のプラットフォームでリターゲティング広告に接触して購入する確率が高い。AAPを通じて購入に至った場合、「カートに追加」ボタンまでトラッキング可能だ。

3. AMG(アマゾンメディアグループ)

現状、AMGはアマゾンが広告主向けに提供する最もコンバージョン指向でないプロダクトといえる。AMGは、AAPを通して、アマゾンアプリ、Amazon Echo(スマートスピーカー)、Kindle、Fireなどのデバイスにプレミアムディスプレイ広告を提供する。しかし、デジタルアシスタントの人気がこれまで以上に高まっている現在、アマゾンの広告ビジネスにおけるAMGのプレゼンスも高まり、ブランド認知向上に重要なサービスと成り得る。

例えば、現在アマゾンはAlexa(アマゾン開発の音声アシスタント)やEchoなどのデバイス向けに音声認識によるサーチ広告をテスト中である。これは、Echoが個々のユーザーのアカウント履歴や音声応答に紐づき、アマゾンで検索した商品を購入へと誘導するなど、ユーザーとデバイスとのやり取りを基に商品や店舗のレコメンドをシームレスに行うことを意味している

次回の後編では、アマゾンの日本におけるビジネスについて考察する。

(執筆:グローバルDP室 Peter McFarlane
監修:グローバルセールス本部 本部長 矢作嘉男
翻訳:広報室)

Google および Google ロゴは、Google LLC の商標です。

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